輸血療法は国策に基づいて実施される、献血で得られた血液を原料とする治療法であり、資源材料となる血液が有限であり、善意による寄付であることから、適正な使用が求められています。また、輸血療法は最も簡便な臓器移植であり、完全に安全ではなく、本質的な危険性を排除できない治療法でもあるため、最低限の使用と共に安全性の確保が求められています。
採血基準の厳格化、問診の細項目化、免疫学的検査や遺伝子増幅検査による血液の感染スクリーニング、初流血除去、血液製剤中に混在する白血球の保存前除去、放射線照射による白血球不活化、一定の保存期間後の製剤出荷、遡及調査の実施等により、近年、血液製剤の安全性は格段に向上しました。しかしながら、以前より指摘されているウインドウ期の感染症伝播やパルボウイルス、EBウイルス、ヘルペスウイルス感染の問題だけではなく、プリオンや西ナイルウイルス、SARSを起こすコロナウイルス等の血液を介して感染する恐れのある新たな病原体が発見されたり、インフルエンザ感染者の献血により作成された血液製剤が回収されるという事例がありました。血液中には感染性を有する未知のものが、まだまだ含まれていると推測されます。輸血療法では、感染症以外にも免疫反応に基づく副作用や合併症が生じる危険性があり、まれに致命的な転帰をとることもあります。
当院が開院以来1件として重大な輸血事故がないことは、患者さんを含め輸血に携わるもの全ての努力の賜物ですが、製剤の取り違えによる輸血事故が新聞等で報道されることもまれではなく、輸血療法、血液製剤が本来的に有する危険性を改めて認識し、より安全な輸血療法を推進することが必要です。少子高齢化や人口の減少、変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)に関連した献血基準の見直しなどによる献血者数の減少による献血量の減少に対応し、血液製剤の国内自給を達成するために、より一層の適正使用の推進が求められています。インフルエンザウイルスのパンデミック感染時やSARSの流行時の血液供給も大きな問題となる可能性があります。輸血をめぐる状況についての詳細は、厚生労働省による平成21年版血液事業報告や日本赤十字社による輸血情報、Haemovigilance by JRC 2007をご覧頂ければと思います。
当院では厚生労働省の「血液製剤の使用指針」および「輸血療法の実施に関する指針」を遵守し、輸血に関する業務一切を輸血部で一元的に管理すると共に、定期的に輸血療法委員会を開催して安全かつ適正な輸血療法の施行のために努力しております。
なお、当院は2006年4月より輸血管理料Ⅱを算定しています。
輸血に必要な検査の実施(血液型検査、交差適合試験、不規則抗体のスクリーニングや同定など)と報告、適合血選択のコンサルテーション
血液センターへの血液製剤の発注、血液製剤の管理および払い出し、輸血製剤による副作用報告の収集と分析、血液製剤使用実績の統計作成
自己血輸血のための貯血業務と貯血自己血の管理、末梢血造血幹細胞採取の介助と採取幹細胞液の管理、瀉血の介助
臨床検査科(平澤晃部長:輸血学会認定医、佐藤義雄技師長)の協力の下、佐藤忠嗣輸血部長および中央検査科業務兼任の5人の技師で担当しています。時間外の輸血業務は中央検査科当直技師が担当しています(総数24人)が、輸血業務熟練者(7人)が支援する体制を取っています。
| 氏名 | 専門医・認定医等 | |
|---|---|---|
| 医師・部長 | 佐藤 忠嗣 | 日本血液学会認定血液専門医・指導医・代議員 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医 日本臨床免疫学会評議員 日本輸血細胞治療学会会員 神奈川県合同輸血療法委員会世話人 ASH(米国血液学会)会員 ISEH(国際実験血液学会)会員 |
| 技師・主任 | 中村 和之 | |
| 山形 篤志 | ||
| 白井 厚子 | ||
| 技師 | 小林 重巳 | |
| 横沢 亮 | ||
日本輸血細胞治療学会認定輸血検査技師 2名
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